公開: 2024年2月25日
更新: 2024年2月25日
教育勅語では、江戸時代からの儒教思想に根ざした「徳育」を重んじました。特に、徳育では、徳の中心に、公(おおやけ)に対する忠義と、親や家に対する孝行を重視していました。これは、徳川幕府が、朱子学を基本思想として、封建制度を維持するために旧士族階層の人々が身につけなければならない徳として重視していたからです。
特に公に対する忠は、藩や幕府など、自分が所属する社会の正義のためには、自分の利益や生命を犠牲にしても、その組織や社会の維持を優先して、よりよい社会の建設に努めなければならないとする考えです。また、孝は、自分の両親や家の存続を守るためには、自分の命よりも、それを大切にして、何をなすべきかを考えなければならないとする思想です。現実の問題では、この忠と孝が同時に成り立たず、忠を立てようとすれば、孝が犠牲となる例が少なくないことです。その場合には、忠を優先しなければならないとするのが、朱子学の基本的な考え方です。
この思想は、社会が安定しなければ、個人の生活が安定することはないとする考え方に基づいています。自分が生まれたのは、両親が生活できていたからであり、それを可能にしたのは、社会が安定していたからで、その根源には、社会の統治者が、社会を正しく統治していたからであるとする考え方です。この考え方は、社会に変革を起こすことを阻止し、社会の変化を阻害することで、社会の発展を不可能にしますが、社会の構成員から見れば、社会全体が安定するので、好ましい状態に保たれることを保証します。